古くなっても家賃が下がらない部屋のつくりかた

私は小さいころから建築に興味をもっていて、将来の夢は建築家になることでした。そしてそのまま建 築家になり、ずいぶんたくさんの建物を設計させていただきました。

新しい建物もいいですが、私は古くて味わいがあって、風格を感じる建物が好きです。

どの建物も真新しいときはそれなりに奇麗ですが、年月が経つとたいてい老いぼれてきます。
そして、その建物がいつごろ建ったのか、すぐに分かってしまいます。

建築材料の流行りすたれもありますが、建築材料の色褪せぐあいからも建築の年式はわかります。
別に年式がわかったからどう、ということはありませんが、 年月が経つとともに、色褪せる一方であるのが悲しいのです。
悪くなることはあっても、良くなることはないからです。

その点人間なら、肌の艶やスタイルは若い人にかなわないけど、人生を重ねて思慮深くなったり、優しくなれる強さを得たりと価値を上げることも可能です。

京町家私は、歳月とともに風格のでる建物をつくれないものかと考えてきました。
でも私が考えるまでもなく、そういう建物はいくらでもあったのです。
京都の町屋もそうですし、パリのお家もそうです。
身近な例としては、横浜や神戸の異人館もそのひとつです。
100年くらい前に建てられたのに、とても魅力的です。
今のハウスメーカーの家なんて問題ではありません。
すくなくとも私にはそう見えます。



パリのアパルトマン あなたはどうですか?
新品のハウスメーカーの家と、100年前に建てられた異人館とどちらが好きですか?
ああ、やはり、新品のハウスメーカーのお家ですか。
そうですよね。なんたってピッカピカで清潔で、キッチンやバスも最新の設備ですものね。

異人館


でもね。ちょっと想像してみてください。
最初はきれいですが、20年か30年経ったら、ハウスメーカーの家はどんな風になるでしょう?
未来のことを想像するのは難しいですね。
だったら逆に、今から20年か30年前に建てられたハウスメーカーのお家を観察してみてください。
これなら実家とかお友達のお家で見られるでしょう。

20年か30年前に建てられたハウスメーカーのお家と、100年前に建てられた異人館とどちらが可愛いで>しょうか?
これからもずっと、愛着をもって可愛がっていけそうなのはどちらですか?

前フリがずいぶん長くなってすみません。
ではここで、ハウスメーカーの家と異人館との違いをお教えします。

ハウスメーカーの家は、工場で大量生産された材料で組み立てられています。
その材料をつくるときの最大の目標は、クレームが出ないことです。
クレームの内容は、「色ムラ」「柄がカタログと違う」「サイズのムラ」「伸縮する」 などです。

それをクレームというのなら、天然素材はクレームだらけです。
たとえば、生きた木材は一本ずつ木目も色も違いますので、カタログとまったく同じにはなりません。ま>た、温度や湿度の変化に対応して伸縮します。
生きている証拠です。
タイルは焼きものですから、釜の奥と手前では焼き具合が違いますし、火の当たり具合でいろいろ変化し>ます。それが「味」です。
多少そったり、サイズ違いができたりするのも特徴です。

塩化ビニル でも残念ながら、日本人にはこれらにクレームをつける人が多いのです。
ですから、ハウスメーカーが採用する建築材料は、ほとんど塩化ビニルのシートに印刷したものです。
印刷技術はとても発展しており、一瞬、本物のように見えます。
が、、しょせん印刷は印刷です。
そして塩化ビニルのシートは年月が経てばどんどん色褪せます。
色褪せるととても情けなく、陳腐化した部屋になってしまいます。
でも、上から塗り直すことはできません。

古くなっても家賃が下がらない部屋。
それは、古くなっても色褪せない建物です。
具体的には、天然の材料を使い、しかし田舎チックにならず、ハイセンスな色使いをすればいいのです。

オフィス 自然な木目に、自然な塗装をする。
塗装がはげたら、その上から塗る。
これならずっと愛着を持ってつかえますし、陳腐化しません。
他の新築マンションと比べても見劣りはしません。

だから、家賃を下げる必要はないのです。

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